通常紙管との離解性の差は歴然。30分程度の離解後は、ダンボールと同等の離解性です
提出した試料をJIS P 8111の標準状態で1日以上調湿し、60.0±1.0グラムを分取。水1Lに試料を入れ、10分間浸した後、JIS P 8220付属書Aに規定された標準離解機に、試料を浸した水ごと投入し、さらに水1Lを加え離解時間を変えて離解した。
10cut(スリット幅0.25mm)スクリーンをセットし、水流量を10L/分に調整する。 離解物をスクリーンに投入し、5分間処理。スクリーンを通過せずに残った残渣を回収し、熱風乾燥機(105℃)で恒量になるまで乾燥し、重量を測定。
グリーン紙管(左)と通常シームレス紙管(右)を同時に水中に入れ、手をつけずに放置する。
- 【5分後】
- グリーン紙管は投入後5分程度で外層から徐々に剥がれ始める。
- 【30分後】
- 30分後には完全にバラけて、紙の層に分離した。
- 【3日後(72時間後)】
- 一方、通常のシームレス紙管では、1週間放置しても内径側、外径側の各1層目がふやけてはがれかけているだけで、完全に紙管の形で残ってしまう。
使用済みのグリーン紙管は分別回収されて紙の原料(古紙)として再利用されます。
ダンボールや新聞紙が資源として再利用されるのと同じです。
通常紙管との違いは離解性のみ。
「湿度に弱いのでは?」というイメージがありますが、日米欧での使用実績に加え、理論的にも通常紙管と全く同じ品質です。
実験片(紙管):内径3インチ肉厚10t長さ600mm
実験内容:下図に示す条件下で実験片(紙管)を放置し、(1)~(4)の時点での各測定項目を測定
各条件下([1]23℃25%RH、[2]23℃50%RH、[3]23℃88%RH)で24時間放置した厚み0.7mmの紙管原紙の水分率を測定。
参考:給水度の比較(液体の水をどのくらい吸うか)
JIS P 8140「紙及び板紙―給水度試験方法―コップ法」
通常紙管用原紙には紙管製造工程上の理由から「サイズ剤」が添付されており、液体の水に対して撥水効果が認められる。グリーン紙管用原紙には「サイズ剤」が添加されていない。
気体の水分子は十分に小さいため、「サイズ剤」がセルロースへの水分吸着を妨げる効果は期待できず、結果としてグリーン紙管と通常紙管は湿度の変化に対して同じ挙動を示す。
この状態(右図)になった後に、抄紙機の乾燥工程にてサイズ剤は溶解してセルロースに付着するため、実際には表面の一部を覆うように広がっている。 「水に溶けやすい=湿度に弱い」というわけではないことがわかります。
セルロース繊維表面に静電的に定着しているサイズ剤粒子の電子顕微鏡写真
(出典:東京大学大学院農学生命科学研究科生物材料科学専攻製紙科学研究室HP)